海、山、川、島など、あらゆる自然環境をを活かし、南国リゾートのようなIRを目指す自治体がいます。和歌山県です。
和歌山IRは最有力候補地である大阪IRから距離的には近いものの、リゾート型というコンセプトで差別化を図り独自の魅力を観光客に提供しようとしています。
その独創性から、日本IR候補地の中でも有力な場所の1つと目されています。
今回はそんな和歌山IRについて、その中身をご紹介し魅力に迫りたいと思います。
Contents
和歌山におけるIRの基本方針
はじめに、和歌山IRの目指す方向性をざっくりまとめると以下のようになります。
- 基本コンセプト:多種多様な観光資源を背景にしたリゾート型IR
- 場所:和歌山マリーナシティ
- 時期:2025年
- 企業:未定(2社が参入意向)
冒頭でもご説明したように、自然環境をメインに様々な観光資源を活用して統合型の南国リゾートを実現したいというのが和歌山IRの基本的なコンセプトです。
場所は和歌山マリーナシティ。
1994年に世界リゾート博に合わせてつくられた人工の島です。島内にはヨットハーバーや温泉、リゾートマンションやテーマパークなどがあり、既にリゾート地としての施設やアクティビティが揃っているのが特徴です。
そのため早期の開業が可能で、現在のところ2025年3月の開業を予定しています。
なお、和歌山IRの運営企業としては現在2社が手を挙げています。
- サンシティ・グループ
- グループ・ルシアン・バリエール
サンシティは香港、ルシアン・バリエールはフランスののIR事業者です。どちらも複数の国に跨る数々のIR運営実績があります。
果たしてどちらが和歌山IRの運営を担うのか。2020年秋頃に選定企業が発表される予定です。
IR候補地としての和歌山の魅力
数ある候補地の中で、なぜ和歌山IRが注目されているのでしょうか。
その魅力は多岐に渡りますが、主要なポイントをまとめると次の4つが挙げられます。
- 関西国際空港から45分
- インフラが整った用地
- マリンアクティビティの聖地
- 世界遺産の熊野古道
それぞれ詳しく見てみましょう。
関西国際空港から45分
まず、はじめに空のアクセスが恵まれています。年間の利用者数が3,000万人にもおよぶ関西国際空港からわずか45分で到達できます。※車で移動の場合
関西国際空港は関空(かんくう)の名で親しまれ、関西地方では最大の空港、国内でも羽田・成田につぐ3番目の利用規模となっています。
実は、最有力候補といわれる大阪IRも関空からは45分の距離です。外国人観光客にとっては、和歌山IRは大阪IRと同なじくらい気軽に行けるリゾート地なのです。
インフラが整った用地
和歌山IRは和歌山マリーナシティでの開業を予定しています。
この地は1990年代にリゾート博を実施した場所であり、既にリゾート地としてのインフラが完備されています。これは大きな強みです。
例えば、道路・水道・ガス・電気・通信・防災設備など生活するための基礎が仕上がっています。実際にマリーナシティ周辺にはマンションがいくつも立ち並び別荘地として人気です。
さらに、島内にはヨットハーバー・ホテル・レストラン・テーマパーク・駐車場、マリンレジャーを中心としたアクティビティサービスなども完備しています。
このように、リゾートライフを送るための設備やサービスが既に整っており、IR誘致が決まった場合は和歌山が日本最速で開業できるとも言われています。
マリンアクティビティの聖地
和歌山はマリンアクティビティの聖地としても有名です。
サーフィン・セーリング・クルージング・フライボード・ウェイクボード・ダイビング・ホエールウォッチング・フィッッシング・ビーチなど挙げるときりがないほどです。
他にも山側では、サイクリング・パラグライダー・ハイキング・ゴルフなども可能でレジャー&スポーツに関しては万能と言えます。
特に外国人観光客の方は、リゾートライフを過ごすことを目的の1つとしていらっしゃいます。そんなお客様向けに上記アクティビティは好評を得ること間違いなしです。
そういったサービスが和歌山には既にある。この点が和歌山IRの魅力の1つとなっています。
世界遺産の熊野古道
和歌山は世界に誇る文化遺産を抱えています。熊野古道です。これは世界から人気を集める観光スポットで、和歌山IRでも大きな集客要素となりそうです。
2004年、富士山などの有力候補を抑えこみ熊野古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
関西の方でないと熊野古道と聞いてもどんな場所かあまりピンと来ないかもしれません。
この古道は自然崇拝の霊場として1,000年以上もの歴史を持ち、西暦900年代から天皇も参拝に訪れていたような文化的に大変意味のある遺産です。
文化的な意味を抜きにしても、この神秘的な空間は心身をデトックスし感性をくすぐる作用があります。ビジネスパーソンの息抜きやアーティストがインスピレーションを得るのにもぴったりの場所となっています。
IR誘致に向けた和歌山の課題
和歌山IRは独自の魅力に溢れ、参入企業や地元企業としても期待の高い企画だと思います。一方で、和歌山が克服しなければいけない課題というのも存在します。
それは、大阪IRとのカニバリゼーションです。
カニバリゼーションとは共食いの意味で、要するにここでは次のような課題感を指します。
- 大阪IRにお客さんを持っていかれて繁盛しないのではないか?
- あるいは、お客さんを分けあってしまい共倒れになるのではないか?
この課題感は大阪IRの運営側も同様に感じています。
関西全体もしくは日本全体でIRの効果を最大限発揮するため、近隣で2つのIRを成功させるための戦略を立てなければなりません。
この課題に対しては、観光客へ提供する価値の差別化をお互いに図ることで解決を目指しています。具体的には、以下のような住み分けイメージです。
- 大阪IR
– 最先端テクノロジー
– 産業クラスター
– 寺や城の遺産
– 未来都市の雰囲気 - 和歌山IR:
– 自然環境
– アウトドアアクテビティ
– 霊場の遺産
– 南国の雰囲気
※上記は公式見解ではなくあくまで個人的な見解です。
このような差別化により、むしろ大阪IRと和歌山IRの相乗効果が生まれるような工夫が検討されています。
【直近の状況】IR運営企業の募集開始
和歌山県のIR推進室は2020年3月30日、IR誘致に向け運営企業の募集を開始しました。
和歌山マリーナシティの敷地を運営企業に売却する形になるわけですが、その敷地面積や金額の詳細も公表されています。
また募集結果を踏まえ、2020年の11月中旬頃に事業者の決定を行うと明記されています。
現在和歌山IRへの参入意向を示しているのは次の2社です。
- サンシティ・グループ
- グループ・ルシアン・バリエール
いずれもIR業界では有名な名のある企業です。和歌山の魅力を存分に発信してくれることでしょう。
また、働き手の視点で見てもこれら企業の生み出す雇用は非常に魅力的です。IR開業により期待される求人には以下のようなものがあります。
- カジノディーラー
- ホテルマン・ホテルウーマン
- アーティスト
- ダンサー
- MICE施設スタッフ
これらは給与体系も日本の大企業を凌ぐ高待遇であることが予想されます。
例えば、アメリカの就職情報サイトGlassdoorに掲載されているMGM・リゾーツと同じ外資系IR運営企業における収入の情報は以下になります。
- エグゼクティブマネージャー:年収約1,500万円
- シフトマネージャー:年収約630万円
- ディーラー:年収約430万円
ディーラーは時給制なので、チップ込みで年収ベースに換算しています。参考までに、エグゼクティブマネージャーの収入情報は以下になります。
今後運営企業が決まり、開業に向けた本格的な準備が始まる2021〜2022年頃よりIR企業による求人が出始めると予想されます。
実際に、韓国のパラダイスシティでは開業の2年前よりカジノディーラー等の募集が始まったことが先例としてあります。
IRの仕事に興味がある方はこれら運営企業の動向は要チェックです。
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まとめ
和歌山IRについて、その中身を詳しくご紹介いたしました。
最後にポイントをまとめさせていただきます。
- 基本コンセプト:多種多様な観光資源を背景にしたリゾート型IR
- 場所:和歌山マリーナシティ
- 時期:2025年3月の開業
- 魅力:関空から45分・インフラ完備・豊富なマリンアクティビティ・世界遺産熊野古道
- 課題:大阪IRとのカニバリ
- 運営企業:未定(サンシティなど2社が立候補)
アクセスが良く自然もあり、都会(大阪)からも近い。考えてみると和歌山IRは何かと「ちょうどいい」IRな気もします。
東京方面のビジネスパーソン向けに、ワーケーションの場としての利用もおすすめできそうです。
大阪IRとの兼ね合い含めまだまだ課題もある和歌山IRですが、ぜひとも実現して欲しいですね。今後もその動向に目が離せません。
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